午前5時30分、静まり返った東京の一戸建てに、スマートフォンの無機質なアラーム音が響く。恵美(28歳)の朝は、周囲の住宅街がまだ寝静まっている時間に始まる。彼女は重い身体を起こすと、すぐに寝室を出て台所へ向かう。AV女優としての夜遅くまでの撮影がどれほど体に堪えていても、主婦としてのルーティンを崩すことはない。
冬場であればまだ外は真っ暗だ。冷え切った台所で湯を沸かし、まずは夫の直樹(30歳)のために温かい緑茶を淹れる。続いて、手際よく朝食と弁当の準備に取り掛かる。卵を焼き、鶏の照り焼きを詰め、彩りとしてブロッコリーを添える。直樹は一般的なIT企業に勤める、いわゆる「一般男性(イッパンダンセイ)」だ。結婚して3年、直樹は恵美の仕事を完全に理解して支えてくれている。